さて、所変わって、こちらは<集いの館>と呼ばれるフロント棟にある、メインダイニングである和食レストラン「嘉助(かすけ)」。
天井近くに空いたスリット、波打つ壁面など、大胆な空間構成は日本食の店としては異質です。
上の階から見るとこんな感じです。
まるで教会のような天井の高さと、棚田のように段状に連なるフロアラインはかなり衝撃的です。
こちらは、先程のレストランを見下ろす位置にある、ライブラリー・ラウンジ。
大きなソファでくつろぎながら、好きな本を読んでのんびり過ごす、なんていうのもひとつの楽しみ方です。
また、このラウンジでは、お菓子やコーヒー等が無料で楽しめるんです。嬉しい限りです。
ラウンジの外に出ると、水の流れる庭園です。
棚田のように広がる池の間を、上から下へ、水が静かに流れて行きます。
先程の日本食レストランの外観。
あの階段状の座席配置は、この棚田のような庭園に合わせたものだったんですね。
更に園内を散策。私が泊まった離れは川の上流近くでしたが、こちらはその下流側です。
見方によっては、水面に浮いてるようにも見える水辺の離れ家。
客室には数十種類のプラン・バリエーションがあると言いますから驚きです。しかも、それぞれがこの集落の味わい深い景観の重要な構成要素にもなっています。
川の反対側の斜面を登ると、<山路地の部屋>というタイプの離れ家が集まる一帯です。
屋根の上に更に一段高く出っ張った小さな屋根は越屋根です。部屋の上下の空気を対流させ、なるべく冷暖房を使わない快適性の為の工夫で、日本の伝統家屋の知恵に習った環境への配慮でもあります。
離れ家の間から対岸を望む。
散策しながら、ふと足を止めてしまうような場所が、園内に無数に散りばめられています。
ゲストの滞在する建物それぞれが、他のゲストにとっての景観要素となる。
そんな不思議な相互関係が、卓越した環境設計によってもらたされている気がします。
こちらは温泉浴場とスパが入った川沿いの建物。
写真左側の障子で囲まれたような箱状の部分、実はこの中が<光の部屋>と呼ばれる浴室なのです。
<メディテーションバス>という名の浴場。
浴室に入る手前、天然水の水飲み場があります。瞑想への準備段階ともいえる空間でしょうか。
浴槽へのアプローチ。こんな不思議な温泉、初めてです。細長い湯船を、光の差す方向に進んで行くと、、、。
やたらと天井の高い、格子が組まれた四角い空間に出ました。腰まで浸かりながら歩ける程に深めの湯船です。この浴室、その名も<光の部屋>。
なんと言えば適切なのでしょうか。交差する格子が、そのうち巨大な十字架のように見えてきて、クリスチャンではありませんが、礼拝堂か何かで風呂に入っているよう妙な気分です。
はて、この空間の一角に目をやると、小さく切り取られた開口部が。
実はこの先の空間、<闇の部屋>という名の、暗闇の浴室なんです。
僅かな明かりが浴槽の側面から照らされる以外はほぼ何も見えず、よって強制的に瞑想状態へという事でしょうか。
参考までに浴場の見取り図です。
浴槽自体はさほど広くないですが、インパクトという意味ではかなりものがありました。
少なくともお年寄り向きではないと思いますが。
こちらは風呂上がりのリラックスルーム。
清潔感があって、温泉というよりスパのような雰囲気ですね。
さて、風呂から上がって川の水面を見ると、蓑を付けた二人組が船を漕いでいます。
一体、何をしているのでしょうか???
実はこの二人、村人の恰好をしたスタッフで、川面に浮かぶ行灯に火を付けてるんです。
毎日、夕方になるとどこからともなく現れ、行燈をひとつひとつすくい上げて灯りを燈してまわるという、ディズニーランド顔負けの、星のやならではの演出です。
最後におまけ。
ルームサービスで頼んだ朝食です。見た目も味もなかなかでしたよ。
星のや軽井沢の最大の魅力は、敷地内のどの場所においても、徹底して<谷の集落>を演出している独自のこだわりにあるように思います。
それは一重に、考え抜いた建築配置計画や敷地全体のイメージ作りの質の高さによるものなのでしょう。
またサービス的な部分においても、従業員の対応がとても良く、キビキビした対応は好感が持てました。