
さて、場面は変わって、こちらは露天風呂へのアプローチ。
館内を出てまずは、渓谷の斜面から張り出した歩道橋のような階段を、谷に向かって下りていきます。

階段を下りた先に続くのは、緑豊かな遊歩道。ここから石畳の坂道を延々と下っていきます。
人にもよりますが、渓流沿いの露天風呂までは約3~5分と、けっこう歩くので、お年を召した方にはキツいかも知れません。

やがて坂の途中に出てくる案内板。
「温泉天国」はまだまだ先なんですけどね。

更に少し下ったあたりの山肌に、突如現れるのが、こちらの「子宝の湯」。

母体内をイメージして造られたというこのお風呂。
半地下の洞窟のような空間に広がる湯船には、外からの光が程良く差し込んで、独特の雰囲気。
そして、その奥には「何か」と向き合う女性の像が。
で、その何かっていうのが、、、

なんと、巨大な "男性自身"!?
あ、いや子宝祈願の "御神体"
なのであります。
女性の方々はリアクションに困るでしょうが、これに触るとご利益があるそうなので、ぜひ!
ちなみにこの子宝の湯は、映画「テルマエ・ロマエ」の中で、ハドリアヌス皇帝の入浴シーンに使われたそうです。

とまぁ、寄り道はこのくらいにして、更に遊歩道をグイグイ進んで行きますと、やがて緑の木々の間から、清流の姿が下方に垣間見えてきます。
ここまで来ればもう少し!

宿から履いてきた「健康サンダル」が堪らなく不快に思えてきた頃、遂に現れたのがこちら、 天城荘のシンボルとも言える「大滝(おおだる)」。
2万5千年前の火山噴火によってできたと言われる河津七滝(ななだる)のうちの一つで、落差30m・幅7mと、伊豆最大級の名瀑です。

ちなみに、この日は2015年9月10日。
前日までの台風第18号の影響による大雨で、凄まじい滝の水量でした。見た感じ、滝幅も通常の2倍以上で、周囲に飛散する水しぶきで、滝壺の辺りは霧掛かったように幻想的でした。

滝壺の先を流れる河津川のほとりには、野趣満点の露天風呂が点在しています。

天城荘には5つの源泉があり、主にアルカリ性単純温泉。ph値が8.43と高く、美肌の湯として人気です。
源泉の温度は38~49度と割と低めで、露天風呂の湯船は加水無しの源泉掛け流し。よって湯船により、湯温がかなり異なります。

湯船があまりにも川に近い為、大雨などで増水すると川の水が流れ込み、露天風呂と川とが一体化してしまう事も。
実際、この日の前日は、露天風呂が水没して入浴できなかったそうです。

とはいえ、清流を目の前にして、大音量のせせらぎを聞きながらの入浴はやはり格別。
ちなみに写真左側の小家風の建物も露天風呂です。

2~3人ほどしか入れないこじんまりとした露天風呂ですが、少し周囲より高台にあって、仕切りの無い貸切風呂といった様相。
余談ですが、この湯船の縁に、なんと「ミヤマクワガタ」がいたのにはビックリ。そもそもデパートの売り場以外でミヤマクワガタを見たのは人生初で、個人的にはかなり衝撃的でした。

湯船からの大滝の眺めもご覧の通り。
ところで、これら天城荘の露天風呂は混浴なのですが、日中17時までは水着着用が必須となっており、女性も安心して入浴できます。
昔は、素っ裸のおっさんと、水着の若者や外国人、そして滝を見に来る見物客とで、入り乱れてたんですけどね。。。

さて、こちらの得体の知れない小屋はといいますと、一応、中にも風呂があります。
にしても、解体中の建物か廃墟のようにしか見えないこの中途半端さは、どうにかした方が良いかと思いますねぇ。

で、屋内にあるのは、ご覧の通り、せいぜい2人くらいしか入れない小さなお風呂なのですが、、、

このように、前面の壁一面がポッカリ開いていて、滝との距離もかなり近いです。

大滝の姿はもちろん、その流れ落ちる轟音も大迫力の、臨場感あふれるお風呂。
実際には、ここより更に滝の近く、滝つぼのほぼ真横にも露天風呂があるのですが、何しろ水しぶきが凄くて撮影は断念しました。。。

で、その滝つぼ至近の露天風呂脇の岩盤に掘られた、トンネルのような通路がこちら。
実は天城荘のもうひとつの名物 「穴風呂」 へと至る入口です。

通路の先には、男女に分かれた岩風呂が。
壁も天井も粗野なコンクリートむき出しで、風呂というよりプールの腰洗い槽のような感があります。
ちなみにこの先で男女の湯船が合流し、混浴と相成ります。

その先の様子がこちら。
荒く削られた岩盤を照らす、おぼろげな灯り。
まるで水没した炭鉱ですよ、これは。
「モや~ん」とした湿っぽい空気は、低温のミストサウナにでも入っているかのよう。

更に奥に進むと少々天井の高い空間で行き止まり。奥の岩から温泉が自噴している以外には、何があるわけでもありません。
ちなみに入口からの長さはなんと約30m。掘削した方々には敬意を表します。

さて、穴倉から出て、渓流沿いの "堤防兼遊歩道" を、滝とは逆側の下流に向かって歩いていきます。
ちなみにこの先には露天風呂はありません。

振り返ると、木々の緑の合間から大滝の姿がなんとも清々しく映えます。

途中には、鯉が泳ぐ小池があったりして、何とも心が癒されます。

その先にも更に大きめの人口池がありますが、こちらには少数のニジマスくらいしかいないようでした。
おかしいなぁ、、、
昔、来た時にはこの池に、「テラピア」とかいう熱帯魚がウヨウヨ泳いでたんですがねぇ。

更に進んでいくと現れるのが、この、天城の地下天然水を使用した25mプール。6~9月までの夏季限定です。
右上方には、ループ橋の一部が見えています。ロケーションが良いだけに、いわゆる普通のプールなのが、少々残念な感じ。

私見ではありますが、温泉をそのまま利用して、1年中利用可能にすればよいのに。
加えて、海外のリゾートのように、シックな配色のタイル張りにするなり、サンベッドを配したりと手を加えれば、かなり見違えそうな気がします。
「ヒーリング・プール」などと称して、大人ウケを狙った方がよっぽど有効利用ではないかと。

ちなみにこのプールの近くには、東屋風の喫煙所があるので、愛煙家の方々もご安心を。
ここまでタバコを濡らさずに持ってくるのも、それなりに大変ではありますけど。

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