先に簡易的な計算法をご紹介しましたが、そのベースともなっている、正確な数値を計算するための換算公式はと言いますと、以下のようになります。
①摂氏(℃)=(℉-32)×5/9
②華氏(℉)=℃×9/5+32
この公式を目にして、5/9 とか 9/5 といったパッと見では取っ付きにくい分数にドン引きしてしまうのは、私だけではないはず。
この5/9と9/5というクセ者の分数をより計算しやすい数字に変換していくことで、先にご紹介したカンタン計算法へと導いていくプロセスに触れたいと思います。
まず最初に上記②の公式「華氏(℉)=℃×9/5+32」から紐解いていきますが、「9/5」という分数は9÷5=「1.8」に置き換えられ、更に1.8=「2×0.9」に分解できます。
2×0.9、つまり「2倍」して「1割引き」という、より日常的でイメージしやすい計算要素に分解することで、結果的に②の公式は、「℃を2倍して1割引きし、更に32を足すと℉になる」というかなりシンプルなプロセスに落とし込む事ができます。
一方、①の公式「摂氏(℃)=(℉-32)×5/9」に関しては、「×5/9」という部分がクセ者です。
5/9=0.555555... と割り切れない分数なので、このままではとても暗算には使えません。
そこでこの「×5/9」は、分母分子を逆にして割り算「÷9/5」に変換できる点を利用します。
そうすると前にも出てきましたが9/5=1.8ですので、「×5/9」=「÷9/5」=「÷1.8」と導けます。
結果、℃=(℉-32)×5/9=(℉-32)/1.8と変換でき、更に分母の1.8は「2×0.9」に分解できるので、℃=(℉-32)÷2÷0.9という式に変形できます。
ここでは「÷0.9」というのが暗算に向かない要素ですが、これは、1÷0.9=1.11111...を掛けるのと同じことになり、 「÷0.9」=「×1.11111...」という掛け算に変換できます。
更に、この「×1.11111...」という割り切れない数値を、誤差を承知で四捨五入し「×1.1」として扱うことで「1割増し」という日常的で暗算に適した要素に変わります。
これを公式に落とし込むと、℃=(℉-32)÷2×1.1 となり、結果、「℉から32を引いた数字を半分にした後、1割増しにすると℃(近似値)になる。」というカンタン計算式になります。