太古からの熱帯ジャングルに包まれた神秘の島・ランカウイ島。
その北西、アンダマン海に面した熱帯雨林の斜面にひっそりと佇むハイクラスリゾート、それがザ・ダタイです。
周囲の環境や景観に配慮したエコ・リゾートとして1993年にオープンして以来、ハリウッドのセレブ達がお忍び旅行でやってくる事でも話題になったこのリゾートは、「ランカウイに行くからダタイに泊まる」のではなく、「ダタイに泊まる為にランカウイに行く」と言わしめるだけの魅力を持つ、隠れ家的なリゾートです。
ロビーの先に広がるシンボリックな蓮池。
屋根の造りと相まって、寺社仏閣のような崇高な雰囲気を醸し出しています。
密林に覆われた高台の斜面からは、遠目にアンダマン海が一望できます。
ヴィラへは電動カートでくねった小路を下って行きます。全体に言えますが、建物の外観は至って地味というか、質素な印象です。
宿泊したのは、スーペリア・ヴィラというタイプ。
自然木の素朴な風合い。漆喰の様な白壁。
シンプルかつ洗練された印象です。
木枠の窓には縦格子が入り、さり気なくアジアン・テイストが取り入れられています。
青で統一されたファブリックが、質素な色調の室内に、程良いアクセントを加えています。
絵画の額縁のような木枠に縁取られたドレス・コーナーの鏡。
小腹が減ったので、ルームサービスで軽食を注文。食事と一緒に一輪差しの花が添えられるなんて、なかなかの心遣いですね。
ロビー棟の外観。
園内の至る所に見られる石垣は、ダタイの象徴的な要素の一つと言えるかも知れません。
施設全体に重厚感を与えているこの石垣は、夜になると、その開口部の内側からオレンジ色の明かりが照らされ、それはそれは感動的な美しさです。
チベット寺院をモチーフにしたという建物は、どれも < 意図した質素感 > とでも言うのでしょうか。目立たないようでありながらも、異質の存在感があります。
アマンリゾートをはじめ数多くの楽園リゾートを手掛けてきた建築家、ケリー・ヒルの妙技と言えるでしょう。周囲は10m以上はあると思われる背の高い木々で覆われた熱帯雨林のジャングルです。
4層以上ある建物の屋根よりも木々の背丈の方が高い事が見て取れます。
宿泊棟下層部の休憩スペース。その背後にも石垣が巡らされています。
ロビー棟のすぐ下、高台にあるメインプール。白色大理石の床が、反射鏡のように、周囲を明るく引き立てています。
眼下の熱帯雨林越しに、その先のアンダマン海を見下ろす眺望は、言葉にできないほど素晴らしいものがあります。
こちらは斜面の小路を下った先の海辺にある、もう一つのプール。背後にアンダマン海が広がっています。
アンダマン海に面するダタイ・ビーチ。
環境に配慮し、モーター付きのマリンスポーツ等は禁止されています。物売りに煩わされる事もない、静かなビーチです。
海側からダタイを望む。
ところが、浜辺のレストラン以外には、ロビー棟や宿泊棟も全く見えません。このあたりの配慮も、エコ・リゾートと言われる所以かも知れませんね。
同時に、ダタイがまさにジャングルに囲まれたリゾートであるという事がうかがい知れる光景でもあります。
ザ・ダタイの魅力。それは、ジャングルの中から海を望むという非日常的な視点を体験できる特異な立地と、一見地味に見えながらも、< 静かなる迫力> とでもいうような、クールで荘厳な存在感を施設全体が醸し出している点にあるような気がします。
一方、周囲を背の高い木々に覆われている立地上、宿泊棟の上層階を除き、オーシャンビューが望める部屋は限られており、大抵は<ジャングル・ビュー>という事になるかと思います。
が、それを差し引いてもなお余りある程の魅力が、ダタイにはあるように思います。