思い出の温泉旅館 宿泊体験記

Foovoowoo Japan EnglishFoovoowoo Japan 中文Foovoowoo Japan 日本語Foovoowoo Japan FrancaiseFoovoowoo Japan Espanola

大沢温泉ホテル 依田之庄(静岡・南伊豆)

伊豆半島の南、下田から西に向かってもう少しで松崎に抜ける辺り、山あいを静かに流れる那賀川の畔に、竹林に囲まれた海鼠壁の大きな屋敷が現れます。

江戸時代は大庄屋として、明治時代には製糸業として栄華を極めたという依田一族が残した、歴史的にも価値ある日本家屋を改装し、観光施設として新たに息吹を与えられた宿、大沢温泉ホテル、別名「依田之庄」です。

古き良き日本へと誘うような庄屋土間の玄関、緑豊かな中庭を囲む海鼠壁の回廊、初夏には無数の蛍が舞う庭園の池。園内のどこにいても、いにしえの日本を感じさせる佇まいは、長い歴史と浪漫を感じさせます。

大沢温泉ホテル「依田之庄」 母屋外観
東京から、なんやかんや4時間強。宿に到着するや否や、愛車のシトロエン2CVをなまこ壁の母屋の前に乗り付けて、取りあえず一枚。

やはり昔の名残と言いますか、見た目的には、宿というより大地主さんの豪邸といった感じで、ドッシリと構えた風格と、とても趣のある佇まい。

大沢温泉ホテル「依田之庄」とシトロエン2CV

現代車と違って時速100㎞出すのがやっとのこの車では、正直しんどい道程でした。。。

大沢温泉ホテル「依田之庄」 看板

周囲から隔絶されたような、とても静かな環境が魅力の大沢温泉「依田之庄」。
素朴な山里といった感じの、心安らぐ雰囲気に満ちています。

大沢温泉ホテル「依田之庄」 水車

入り口付近には、かつて水力による自家発電をしていた頃の名残りという、立派な水車が。すぐそばを流れるの那賀川の伏流を引いています。

大沢温泉ホテル 依田之庄 玄関

同行した秘湯好きの父親と、玄関前で一枚。

宿というより、酒蔵か何かに入って行くような感じもします。

薄暗さがかえって威厳のあるシブさを醸し出しています。

大沢温泉ホテル 依田之庄 回廊

館内の中心に位置する情緒豊かな中庭を取り囲む回廊。

初めて見るのにどこか懐かしさを覚えるような佇まいです。

大沢温泉ホテル「依田之庄」 中庭

入口付近の水車が取り込んだ水流が、この庭園の池に程良く流れ込んでいます。

大沢温泉ホテル「依田之庄」 回廊

庭の端に配された鹿おどしが、時折あの「カッコ~ン」という趣のある竹筒の音を響かせます。

大沢温泉ホテル「依田之庄」 天保の間 外観
こちらは江戸時代の道具蔵を改装したという「天保の間」の外観。有形登録文化財指定の建物だそうです。

管理人はこの部屋がお気に入りで、今回もこちらの部屋を指定して予約しました。

1階は道具箱の置かれた土間と情緒のある内風呂。箪笥階段を登った2階が居間になっていて、 蔵の開口部をそのまま活かした窓から中庭を眺めていると、鶯の声などが聞こえてきて、何とも言えない情緒が味わえます。
大沢温泉ホテル「依田之庄」 母屋外観

少し遠目から、中庭の木々も織り交ぜて一枚。 この庭がなんとも居心地がいいんですよねぇ。

別にする事もないのに、けっこうな時間、この辺りをうろちょろしてしまいました。。。

大沢温泉ホテル「依田之庄」 なまこ壁

さて、その「天保の間」に入ってみましょう。
なまこ壁の蔵に囲まれた回廊をぐるりと回っていきます。

大沢温泉ホテル「依田之庄」 天保の間 1階
まるで柱のように太い格子枠の木戸を開けると、、、

はい、見事に何にも無い空間です。。。

実際にはこの左奥に、大きな道具箱が無造作に置いてあり、昔は、古民具や骨董品などを収蔵していた「道具蔵」だったことがうかがい知れます。
天井には裸電球が、申し訳程度の明かりを灯しています。
大沢温泉ホテル「依田之庄」 天保の間 箪笥階段
入って右手には、これまた年季の入った箪笥階段が薄暗い明かりに照らされ、「江戸時代かっ!?」とツッコミたくなるような独特の空気感が。

レトロ好きな管理人には堪らないのでした。

大沢温泉ホテル「依田之庄」 天保の間

キシキシと音を立てる階段を上って2階に上がります。

そうです。

この天保の間、1階には先ほどの「ガラン堂」的な土間の他、内風呂があるのみで、居室は2階のみなのです。

大沢温泉ホテル 依田之庄 天保の間
こちらが「天保の間」の2階・室内です。
古めかしさの中にも、独特の趣を感じる和室で、窓の木枠の年季が入った感じも部屋の雰囲気に馴染んでいます。

この正面の窓から見下ろす中庭の佇まいがなんとも言えず情緒的で、窓越しにずっと眺めていたくなるほど。窓を開けていると、小鳥のさえずりが方々から聞こえてもきます。

大沢温泉ホテル「依田之庄」 天保の間 景色

天保の間から見渡す周囲の景色。
緑豊かな自然に囲まれています。

この依田之庄以外に目立った建物はなく、とても落ち着いて過ごせる環境にあります。

大沢温泉ホテル「依田之庄」 天保の間 景色

天保の間から眺める母屋の見事な瓦屋根。

一枚一枚の色や風合いのばらつきが歴史を感じさせます。

この反対側が冒頭の写真の入口正面にあたります。
大沢温泉ホテル「依田之庄」 母屋
母屋の中はこんな感じ。フロントや和風ラウンジといったパブリック・エリアになってます。

宿泊した夜には宿の方が宿泊客を集めて、いくつかの民話を聞かせてくれました。外国人の宿泊客もちらほらといて、 熱心に聞き入っていましたね。

こういった昔ながらの古い建物で、昔の民話を聞くのって、シチュエーションとマッチして、なかなかいいもんです。想像力が膨らみます。

大沢温泉ホテル「依田之庄」 餅つき
最後のオマケはこちら。

餅つきをする、、、 あ、いや、
餅つきをするフリをする番頭さん。

こんな感じでやるんだよ、といった感じでパフォーマンス。 実際、前夜には本当に餅つきが行われ、つき立てのお餅が集まった宿泊客に振舞われました。美味しかったですねぇ。

~ 最後にひとこと ~

部屋の写真が少なくて申し訳ないのですが、私自身はこの宿に3度ほど宿泊した事があり、いずれも写真にあった「天保の間」を指定していて、 個人的にはお薦めします。

名立たる作家たちが好んで宿泊し文学作品の構想を練った部屋というだけあって、独特の風情があります。

一方、情緒よりも利便性を求めるというなら、比較的新しい宿泊棟も含め、多様な部屋の種類があります。
只、天保の間を含め文化財にも指定されている建物で宿泊できるというのも、この宿ならではの贅沢ではないかと思います。

★★★大沢温泉ホテル 依田之庄 の宿泊情報はこちら ★★★

星のや 軽井沢(長野・軽井沢)
龍洞(群馬・奥利根)
大牧温泉(富山・南砺)
加仁湯温泉(栃木・奥鬼怒)

印傳屋(INDEN-YA)の印伝小物コレクション ~現代に映える伝統工芸・甲州印伝の世界~

鹿革」×「色漆」×「伝統

印傳屋(INDEN-YA)の印伝小物コレクション

↓↓↓ 温泉旅館 関連書籍のご紹介です。 ↓↓↓

YUCARI Vol.11 日本の宿・おもてなし [ マガジンハウス ]

絶景混浴・貸切温泉(2015年版) [ 大黒敬太 ]

常宿にしたい温泉宿(2015年版 東日本編)

絶景混浴秘境温泉 保存版 (MSムック)[本/雑誌] / 大黒敬太/写真・文

定本 日本の秘境 ヤマケイ文庫 / 岡田喜秋 【文庫】

Copyright (c) 2010 Foovoowoo Japan